ヘッドホンを捨てよフェスに行こう

VOL.037 猿渡  学(経営コミュニケーション学科)

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知らない人にとってはなんの文字列だと思われてしまいますね。実際に数年前まで知らなかった名前が多いですが、これはここ数年で私がライブにいったアーティスト(バンド)です。これだけのライブに行っていたら、仕事どころではないのではないかと思われてしまいますね。きちんと仕事はしています(つもり)。

実はそれぞれのアーティストのソロライブには行ったことがありません。すべてが「フェス」での鑑賞(どうやら参戦というらしい)したものです。「音楽の祭典」という言葉を使うほど、おしゃれなものでもなくて、好きな音楽を聴きながら、アルコールを入れながら、美味しいご飯を食べながら(フェス飯といいます)、時々昼寝などをしながら(フェス会場によってはテント持ち込み可能な場合もあります)、2日間あるいは3日間程度、飛んで跳ねて歌って大騒ぎするというものです(終わると大概筋肉痛に襲われます)。

フェスは1960年代に「モントレーポップフェス」「ウッドストックフェス」などにその原点を見ることができます。60年代というと大きな時代の変革期、「LOVE & PEACE」が全世界のいたるところで叫ばれた時代。映画の世界でいうとこれまでの古典的映画の作法を破壊して新しい映画のスタイルを生み出した50年代末からのNouvelle Vague(ヌーベルバーグ)の潮流があり、アートの世界ではアンディ・ウォーホルに代表されるポップアートがこれまでの伝統的な芸術の殻を破る動きを始めた時代です。そんな時代の空気の中で、ひたすら自由を求めていた若者を中心にした音楽の歴史を作り上げたのがフェスであったと言われています。

映画『69(sixty nine)』(2004年 監督 李相日, 脚本 宮藤官九郎, 原作 村上龍)の中では、主人公(原作者の村上龍がモデル)が仲間を集めて、佐世保でフェスを開催するシーンがあり、ウッドストックをモデルにしようとします。その中で主人公が影響を受けた人物として、Led Zeppelin, Cream,アルチュール・ランボー, ジャンリュック・ゴダールなどが挙げられています(映画では影響を受けたというよりも意味不明のまま真似をしているだけという姿が滑稽に、でも真面目に描かれています)。当時の若者たちも、60年代の実態のない、空気に触れて、一種の興奮状態に陥ったのではないかと思っています(しかも集団で)。

さて話は現代に戻します。音楽も映画も写真もアートも、相変わらず自由を求めているというのはさほど変わらないようです。60年代に生み出された自由がフォーマット化して、体系化されてしまったのかもしれませんね。

私が初めてフェスに行ったのはARABAKI ROCK FESという東北で開催されるフェスが最初でした。今は川崎町にあるエコキャンプ陸奥で開催されていますが、その頃は仙台港あたりで開催されていました。今ほどの数のアーティストがいなかった記憶があります。でも自由を味わえたという記憶はあります。積極的にフェスに行くようになったのは震災後ですので、5.6年前です。震災復興で被災地に入るようになってから、気が滅入ることも多く、自分自身をがんじがらめにしていたような気がします。一人で被災地から帰ってくる道すがら、気持ちをきちんと保てるようにしてくれたのが音楽でした。被災地を離れるにつれて、カーオディオの音量を上げて「爆音」で聴きながら帰ったものです。

フェスに行ってみて、もちろん参戦するのは若者が圧倒的に多いのですが、20年、30年と活動を続けているアーティストのステージには同年代と思われる人たちが最前列で大騒ぎをしているのを見かけるようになりました。次第に私もそれに混じるようになり、ステージが終わるとなんとなく友達になって、LINEの交換などでつながっています。次のフェスで会いましょうというのがお約束です(そのほとんどがマキシマムザホルモン仲間です)。

若者だけではなく、おっさんもおばさんも、ひょっとしたら60年代とは違った自由の求め方をしているのかもしれないと思います。そして、自由を求めることが時代の空気だった60年代よりも、自由になりたいという気持ちが強いかもしれないと思うようになりました。

フェスに行く楽しみにはもう一つ、ステージで展開されている大きなスクリーンでの演出を見ることです。会場はかなり広いのでステージの上下手にLEDの巨大なスクリーンで複数のカメラによってスイッチングされ、まるでライブ映像を見ているかのような体験ができます。私の研究室では、オープンキャンパスなどでYouTubeを用いたライブ配信を行っていますが、そこでも複数台のカメラのスイッチングのシステムを使った番組演出を行っています。参考にする…ことは無理(機材が圧倒的に違いますので)ですが、ある意味で理想形を確認するという楽しみがあります。

通学してくる学生たちを見ていると、ほとんどの学生がイヤホン・ヘッドホンをつけながら手元のスマホを見ているのです。全ての学生が音楽を聴いているというわけでもないでしょうが、音楽の自由さをもっと体で知ってほしいと願っています。そしていつもこの言葉を密かに投げかけています。

「ヘッドホンを捨てよフェスに行こう!」

もっと自由になりましょう。

今後は夏フェスにも行ってみたいですね。RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO(北海道小樽市),ROCK IN JAPAN FESTIVAL(茨城県ひたちなか市), S WEET LOVE SHOWER SWEET LOVE SHOWER(山梨県山中湖), FUJI ROCK FESTIVAL(新潟県湯沢町)

猿渡 学 准教授

学位:修士(文学)
研究分野:映像制作、映像理論、表象文化論

猿渡研究室

映像表現の可能性やメディアの在り方について考察・研究します。映画やドラマ、プロモーションビデオなどの分析を通して映像表現の手法や技術について学ぶほか、映像作品を自分たちの手で制作し、発表することも可能です。音楽表現を研究する設備なども整っています。

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最終更新日 2018年05月18日